官公署の嘱託による登記の登記済証
官公署の嘱託による登記の登記済証が登記義務者の権利に関する登記済証として取り扱われる場合について、テイハン刊「登記研究」に次の見解があります。関連する旧不動産登記法の条文は後記のとおりです。
登記権利者のための官公署の嘱託による登記の登記済証と登記義務者の権利に関する登記済証の適否(登研215号)
○要旨 官公署が登記義務者として登記権利者甲のために所有権取得の登記を嘱託した場合の登記済証は、後日甲が登記義務者として登記を申請する場合の登記義務者の権利に関する登記済証となり得る。
▽問 国有不動産の払下げを受け、官庁(財務局)からその払下げを受けた者のために所有権移転の登記を嘱託しましたが、この場合の登記の登記済証は、その払下げを受けた者が今回抵当権を設定し、その登記を申請する場合に、申請書に添付すべき登記義務者の権利に関する登記済証として用いて差し支えありませんか。登記所より官庁に還付された登記済証が登記権利者に官庁から交付されたものでありますから、債権者代位による登記の場合と異なり、登記義務者に権利に関する登記済証としての機能を果し得ると考えますが、いかがでしょうか。
◇答 所問の場合、登記義務者の権利に関する登記済証として用いて差し支えないものと考えます。
旧不動産登記法
第三十条 官有不動産又ハ地方公共団体ノ所有ニ係ル不動産ニ関スル権利ニ付キ為スヘキ登記ハ登記権利者ノ請求ニ因リ官庁若クハ公署ヨリ遅滞ナク嘱託書ニ登記原因ヲ証スル書面ヲ添附シテ之ヲ登記所ニ嘱託スルコトヲ要ス
第六十一条 官庁又ハ公署カ登記権利者ノ為メニ登記ヲ嘱託シタル場合ニ於テ登記所ヨリ登記済証ノ還付ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク之ヲ登記権利者ニ交付スルコトヲ要ス
テイハン「登記研究」
http://www.teihan.co.jp/new/token.htm