単有・共有と移転一括申請の可否
所有者の異なる複数の単有不動産については、同一原因、同一目的であっても所有権移転登記を一括申請することはできません。この点、次の登記先例があります。
明治33年8月21日 民刑1176号
(要旨)甲が、乙から土地を買い受けると同時に、丙からも建物を買い受けた場合の各所有権移転登記については、不動産登記法46条(旧法)にいう「登記ノ原因カ同一ナルトキ」に該当しないので、同一申請書によることはできない。
これに対して、共有不動産の場合は例外的に一括申請が許されます。この点、次の登記先例があります。複数の単有不動産の所有権移転の場合は義務者が異なっていれば取引の一体性がないと解しますが、共有不動産の場合は共有持分が同時に移転することに取引の一体性がある、と解釈されるようです。
昭和35年5月18日 民甲1186号
(要旨)数人共有の不動産の所有権を第三者に移転した場合の登記については、同一の申請書によることができる。また、共有者の1人が他の共有者数人の持分を取得した場合の登記についても、同様である。