遺言執行者からの相続登記申請
遺言執行者からの相続登記申請について、実務上重要な質疑応答があります。
遺言執行者からする登記申請の可否について「特定の不動産を『相続人Aに相続させる』旨の遺言に基づくAのための相続を原因とする所有権移転の登記の申請は、遺言執行者からはすることができない」という内容です(登記研究523号、同365号、同424号)。理由は「このような遺言の場合、遺言者の死亡により直ちに当該物件がAに相続により承継されたものと解すべきである(最判平成3年4月19日)から」ということです。
ただし、当該不動産について当該相続人以外の者への所有権移転登記が経由されているなど、遺言の実現が妨害される事態が生じているときは、別問題です。このようなときは、遺言執行者は抹消登記手続を求める訴えを提起することができ、これを認容する判決書正本を添付して当該抹消登記を申請することができます(登記研究672号、最判平成11年12月16日)。いわゆる妨害排除については、遺言執行者にも権限が認められる、ということです。