司法書士が住所を聞き取るとき
登記のご相談をお受けするとき、最初から住民票等を持ってこられる方は少ないので、通常は口頭で住所を教えていただくことになります。運転免許証を拝見することもありますが、その記載は必ずしも住民票通りとは限りません。
郵便番号が分かればパソコンの郵便番号辞書で町名等を探し出すことができます。日本郵便の郵便番号検索ページからも同様の操作ができます。しかし、この場合「大字」「字」などは表示されないことが多いようです。住民票等の公文書では「大字」「字」は省略されません。登記申請手続には、当然、公文書の記載のとおり正確な住所を記載します。したがって、パソコン検索で調べた住所の表記は、参考情報にとどまることになります。
また、住所によっては「○丁目○○番地の○」などのように、番地の表記に「の」の字が含まれる場合があります。通常、登記事項となるときは「の」は省略して記載されます。しかし、既に共有者の住所が「○丁目○○番地の○」と登記されており、さらに、同一人物が同一不動産の新たな持分を取得したときなどの場合には新しい持分の住所にも「の」が記載されます。従前の登記事項との齟齬を生じないようにするためです。このような場合も想定されるため、住民票等の番地の表記に「の」の字があるかどうかも、見落とせないチェックポイントとなります。
最終的には公文書で必ず確認しますが、司法書士が住所を聞き取るときは、このようなことを念頭に置いていることが通常です。