司法書士田島掌のブログ

2011年04月05日

ロングバケーション30周年盤を聴いて

大瀧詠一さんのロングバケーション30周年盤を聴きました。今回は、殆ど使用されていないオリジナル複製テープが発見され、各種音源と比較の上、このテープをマスターにすることとなったそうです。DSDマスタリングです。また、オリジナルと同一世代のカラオケのマスターテープによる「純カラ」がボーナスディスクとなっています。

この「純カラ」は、大瀧さんご本人が絶賛するとおり、素晴らしい内容です。最高のミュージシャンたちの生き生きとした演奏が、手に取るように眼前に広がる印象です。「あのベースラインがやっとはっきりした」「このアルペジオがこれほど繊細な演奏だったとは」等々、長年このアルバムを聞き込んできたファンにとっては、再発見の連続です。

なお、サウンド&レコーディング・マガジン2011年4月号の特集記事では、ロングバケーションの各年代ごとのCDやLPについて、それぞれどのようなマスターが使われていたのか、非常にわかりやすくチャート図にまとめられています。萩原健太さんによるインタビューが掲載されたレコード・コレクターズ2011年4月号とともに、ファン必携の内容ではないかと思います。

今回、オリジナルアナログ盤、20周年盤、30周年盤と順に聞き比べてみましたが、30周年盤を聴いたときに「ああ、戻したんだな」と思いました。レコード・コレクターズのインタビュー記事でも、ご本人が同じ趣旨のことをおっしゃっていました。これは決してネガティブな評価ではなく、CDフォーマットでありながらオリジナルアナログと同等の、ほとばしるようなエネルギー感と実体感を再現することに成功したという意味で、最新のリマスタリング技術のひとつの達成だと思います。

逆に言えば、30周年盤のリリースがあったとしても、20周年盤の価値はいささかなりとも損なわれない、とも言えます。「もしもロングバケーションのリリースが21世紀であったなら、このようなサウンドステージとバランスだったのではないか」と思わせる仕上がりになっているのが、20周年盤だからです。アナログLPのフォーマットに科せられた物理的制約を考えなくてもよい、という前提で構築された「もう一つのロングバケーション」の世界は、それはそれで、この作品をより深く楽しむためのバリエーションとして貴重です。

そういう観点でいえば、大瀧さんが酷評する「マスターサウンド」盤LPも、決して価値のないものとはいえません。たしかに、オリジナル盤よりは、やや平面的で奥行きが少ない部分はあるかもしれませんが、ある種の落ち着きと明解さはオリジナル盤にないものです。

大瀧さんご自身は、「もうこれで新たなリイシューはない」と発言していますが、せっかくDSDでマスタリングしたのですから、是非ともSACD化を検討していただきたいところです。

なお、本日23:00から放送予定のNHK-FM「元春Radio Show」のゲストは大瀧詠一さんだそうです。

サウンド&レコーディング・マガジン
http://www.rittor-music.co.jp/hp/sr/
レコード・コレクターズ
http://musicmagazine.jp/rc/index.html
NHK-FM「元春Radio Show」
http://www.nhk.or.jp/motoharu/

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登記や法律の話題,個人的に興味をひかれる出来事などについてのブログです。司法書士田島掌のプロフィールについては,「トップページ」の「司法書士田島掌のご紹介」をご覧ください。

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