ロックの雑食性
言い古されたことだと思いますが、ロックンロールの登場は単なる音楽スタイルの刷新というだけでなく、20世紀の文化的な発明としての意義を持っていました。それは「音楽スタイルの発明や方法論の革新が、新しいグルーブの発見に直結する」ということを世界中に伝えました。そこにラジオ、テレビ等のマスメディアの発達と、レコード等の音楽パッケージメディアの普及のタイミングが重なり、また、無数の優れたアーティストたちの努力と才能が注ぎ込まれました。ロックンロールはハードロック、プログレッシブロック、グラム、ファンク、ソウル、パンク、レゲエ、テクノ、ニューウェイブ、ヒップホップ、クラブミュージック、グランジなどの支流を次々と獲得し、単に「ロック」と呼ばれるようになりました。
このような来歴から、ロックは常に自己解体やイノベーションを志向し、それによって新しい、まだ誰も聴いたことのないグルーブを追求することを目指すものと性格づけられました。そして、極めて多岐にわたるトライ・アンド・エラーの歴史的成果が、総体として、現在の「ロック」という概念を構成しているように思います。
したがって、ロックを一定の音楽スタイルとして定義することは本質的に不可能だと思います。強いて言えば、ある種の思想そのものというほかありません。ロックがどんな音楽スタイルも飲み込む雑食性を持っていることも、このように捉えることで説明がつくように思います。

