司法書士田島掌のブログ

2008年10月29日

YMOの1st.

Q:YMOの1st.には細野晴臣ミックス版と、US版の2種類があるよね。
A:US版は細野版をアメリカ市場向けにリミックスしたものという意味?
Q:そう。黄色いジャケのものがUS版。
A:正確に言えば、細野版のミキサーは細野さんのほかにもう一人いたんだけどね。細野版はコンピューターゲームのイラストの描かれた青色のジャケットのもの。一般的に広く認知され、数多く売れたのはUS版のLPだけど、細野版のLPも、現在さほど入手困難ではない。ただ、細野版でも、よく見られるのはレーベル面がピンク色で黒い三角のアルファのマークの入ったもの。おそらくYMOが大ブームとなってから大量に再プレスされたものだと思う。
A:細野版には違うパターンのレーベル面のものもあるよ。赤いボールを描いたイラストのもの。これはあまり見かけない。おそらくオリジナル盤又はそれに近い古いプレスのものはこのパターンではないかと思う。
Q:つまり、細野版の中でも2種類あって、レーベル面の違いによってピンク版と赤ボール版に分かれるっていうこと?
A:そのとおり。赤ボール版のLPで状態のいいものを再生すると、音の奥行きが深く、サウンドエフェクトも空間にとび散るように広がるのがわかる。こまかい音色のニュアンスが豊かなので、YMOの3人が当時表現しようとしていたことが、より深く理解できるような気がする。
Q:細野さんのキャリアにおいて、前作「はらいそ」からYMOの1st.にかけてはアーティストとしては大きな転換点があったと思っていたんだけど。
A:あらためて聴くと、さほど大きな断絶がある訳ではなく、むしろコンセプトにもとづいてミュージシャンを人選し、音響設計を徹底するという手法は連続したものであることがわかる。ただ、1点だけ大きく違ったのは、YMOでは曲作りを3人で対等にしたことだよね。
Q:つまり、細野さんのコンセプト・ワークの発展を他のメンバーにも委ねたということだね。これに、坂本・高橋両名は予想以上に驚異的な成果を出してしまった。
A:アスペクト刊のインタビュー・資料集「イエロー・マジック・オーケストラ」を読むと、細野さんは、ほかの二人が自分以上にコンセプトに熱狂していたって語ってるもんね。それが結果的にバンドとしての出発点となり、細野さんのソロ・コンセプト・ワークからYMOがはみ出していったきっかけになったということだね。
Q:コンセプトに熱狂したのは、メンバーだけじゃないよね。国内外の多くのミュージシャンやリスナーが共鳴、同調して、YMOが現象として拡散してゆくことになったわけだから。
A:LPで聴くと、細野さんのソロ・コンセプトの色彩の濃いA面から、バンドとしてはじめての化学反応の発生が見られるB面にかけて、YMOの原点を、よりリアルに感じられる気がする。とくに「中国女」のユキヒロの存在や曲作りが、細野さん・坂本さんの触媒として機能していることが感じられる。
Q:二人とも、インタビューでそういう趣旨の発言もしてるしね。
A:ライブでいつもユキヒロがセンターで歌っていたことも、象徴的だったよね。

アスペクト刊「イエロー・マジック・オーケストラ」
http://www.aspect.co.jp/np/details.do?goods_id=978

(パーソナルな感想なので、自問自答の対話形式で書いてみました。CDへのリンクはあえて貼っていませんので、もしも作品にご興味があれば、タワーレコード、HMV、アマゾンなどで検索してみてください。)

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