異動の内示を受けた会社員
異動の内示を受けた会社員は、その瞬間から一種の真空地帯に入ります。現在抱えている仕事は、すべて「引き継ぐべき業務」となり、異動先の仕事はまだ手元にきていないからです。たいていの会社員は、この真空地帯にはいると、なぜかハイな精神状態になるようです。すくなくとも私はそうでした。転勤先が自分の望んだ部署かどうかにはあまり関係なく、いつもハイになっていたような気がします。
会社員というのは、つねに業務を抱えて四苦八苦しているわけですが、異動の内示から赴任するまでの期間だけは、その重量感が一瞬消えたような錯覚に陥るからではないか、といまにして思います。