専門家の存在価値と職能
病院の待合室で順番を待っているときに、興味深いやりとりを聴きました。ある患者さんが看護師さんに「ちょっと熱があるだけだから、熱を下げる注射を打ってもらうだけでいい。どうしてすぐに注射を打ってくれないのか」と詰め寄っていたのです。
専門家が業務を行うときは、個別の状況や事実関係を確認し、専門知識と経験に基づいた判断を下し、必要に応じた処理をします。また、専門家にはこのような一連の過程について、一般人よりも高度な注意義務を課せられます。
「ちょっと注射を打つだけ」という要求は、処理行為だけを専門家に求める発想から来るのではないかと思います。このような考え方からすると、専門家というのは処理の請負業ということになります。
専門家というものは何のために存在するのか、専門家の職能とはどうあるべきか、ということを考えさせられるひとことでした。