司法書士田島掌のブログ

2007年08月07日

経済産業省のMBOに関する指針案

経済産業省がMBOに関する指針の案についてパブリックコメントを求めています。

「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に
関する指針(案)」に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=
Pcm1010&BID=595207033&OBJCD=&GROUP=

上記ページで公開されている案の骨子を抜粋してみました。自分用のメモです。少数株主排除目的の株式併合を好ましくないものとする指摘などは,中小企業の経営においても,そのままあてはまりそうな内容です。

前提:
  本来MBOは経済的意義を有する取引であり,有効に活用すれば企業価値の向上
  にも大きく資する取引。ただし,取引の構造上,利益相反の問題が存在し,不透明
  感が存在するのも事実。

問題点:
1 会社にとってMBOを行う合理性がないにも拘わらず,MBOを行っているのではな
  いか。
2 MBO価格が不当に低いことにより,株主が受けるべき利益まで,取締役が享受し
  ているのではないか。

提言:
第1 MBOを行う上での尊重されるべき原則
 以下二つの原則に則って行うこと。
  第1原則:企業価値の向上
    望ましいMBOか否かは,企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべ
    きである。
  第2原則:公正な手続を通じた株主利益への配慮
    MBOは取締役と株主との間の取引であるため,株主にとって公正な手続を通
    じて行われ,株主が受けるべき利益が損なわれることのないように配慮される
    べきである。

第2 透明性・合理性確保のための枠組み
1 株主の適切な判断機会の確保
 株主によるインフォームド・ジャッジメントの機会を確保することが重要。
(1) 株主に対する説明のあり方
・実施するに至ったプロセス等について充実した開示をする
・業績の下方修正後にMBOを行うような場合等は当該時期にMBOを行うことを選択
  した背景・目的等につき,より充実した説明をする
・取締役と他の出資者(投資ファンド等)の最終的な出資比率や取締役の役職の継続
  予定等,取締役が当該MBOに関して有する利害関係の内容について,より充実し
  た説明をする
(2) 株主が反対をする場合の取扱い
・株式併合を利用した手法など,公開買付け後の完全子会社化(スクイーズアウト)に
  際して,反対する株主に対する株式買取請求権又は価格決定請求権が確保できな
  いスキームは採用しない
・株式併合を利用した手法など,公開買付け後の完全子会社化(スクイーズアウト)に
  際して,反対する株主に対する株式買取請求権又は価格決定請求権が確保でき
  ないスキームは採用しない

2 意思決定過程における恣意性の排除
(1) 社外役員,第三者委員会等への諮問結果等を尊重する
(2) 取締役及び監査役全員の承認(特別の利害関係を有する取締役を除く)
(3) 意思決定方法に関し,弁護士・アドバイザー等による独立したアドバイスを取得し
  その名称を明らかにする
(4) MBOにおいて提示されている価格に関し,対象会社において,独立した第三者評
  価機関からの算定書等を取得する

3 価格の適正性を担保する客観的状況の確保
(1) MBOに際しての公開買付期間を比較的長期間に設定する
(2) 対抗者が実際に出現した場合に,当該対抗者が対象会社との間で接触等を行うこ
  とを過度に制限するような内容の合意等を行わない

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