成功した「多重債務問題と行政の役割を考える緊急フォーラム」
以前このブログでもご紹介した「多重債務問題と行政の役割を考える緊急フォーラムin名古屋」が名古屋市中区で開かれました。主催は「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」です。当日は,184名もの参加者があり,会場は満席となりました。参加者の中には,自治体関係者や議会議員も多く見られました。内容は下記のとおりです。
高金利被害体験報告
新里宏二弁護士基調講演
大山小夜金城学院大学助教授の報告
滋賀県野洲市での自治体の取組み報告
長野県での自治体の取組み報告
岐阜県での自治体の取組み報告
名古屋市での自治体の取組み報告
冒頭の高金利被害体験報告は,被害者2名の方が自らの悲痛な体験を語るというものでした。生活苦から多重債務状態に陥ってしまい,精神的にも肉体的にも追い詰められ,家族の絆さえ失われていく辛さが体験者の口から語られることは,どんな言葉よりも多重債務問題の深刻さを強く訴えるものです。このような体験談は,本当に胸に迫るものがあります。改めて,「多重債務者と呼ばれる人が一人もいない社会」を実現するための活動の重要性を再認識しました。
新里宏二弁護士からは「内閣官房に設置される『多重債務者対策本部』の活動概要」と題し,政府の取組みと今後の展望についての最新情報が報告されました。「高金利引下げが法改正によって実現されたいま,それを行政レベルで実際に機能させていく活動が重要となる」という指摘は,会場全体の認識として共有されたと思います。
大山小夜金城学院大学助教授からは,行政の多重債務者対策を充実させる全国会議が全国の自治体を対象に行なった多重債務者対策の実態調査について,詳細な分析資料の発表がありました。このような研究は,内閣官房に多重債務者対策本部設置を控えた現在,行政レベルの現状を伝える重要な基礎データを提供するものと思われます。
後半は,各自治体の先進事例の紹介がありました。それぞれ現地から担当の方が直接報告するという,全国的にも大変貴重な機会となりました。とりわけ野洲市の事例紹介は,担当の方の熱意,状況分析力,手法開拓のアイデアの多彩さに会場が圧倒された感がありました。各部署との連携のノウハウなどは,他の自治体でもすぐに取り入れることが可能なものです。なによりも,自治体の中にこれほどの熱意を持って取組みを行なっている担当者があり,またそれが成果を上げている現実を見せつけられたことは,会場全体に重いインパクトを与えるものでした。去る6月24日の「高金利引下げ大集会in名古屋」では,先進事例報告として奄美市市民課の禧久孝一さんの報告がありましたが,それに続く貴重な報告になったと思います。また,岐阜県からは「まず相談」をテーマに,弁護士会・司法書士会と連携し,市町村単位の広報誌やミニコミ誌の記事を通じて相談掘り起こしをする手法が紹介され,予算が無くても取組みは可能であることを実例として示しました。
最後の会場発言でも,有意義な報告や提案が相次ぎました。とくに一宮市の瀧弁護士からなされた,「自治体の取組みは徴税関係部門と連携することが有効なのではないか,例えば納税通知等に多重債務の相談窓口の情報を印刷するというアイデアもあり得るのではないか」という提案は,取組みも容易なうえ予算も不要であり,非常にポイントを押さえた発想ではないかと思いました。

