イデー
インテリアショップのイデーは,中心人物だった黒崎輝男さんの手を離れてしまったようです。黒崎輝男事務所ブログの記事を見ると,どうも意に反した形での離脱だった模様です。
90年代初頭,青山にあったイデーの小さなショップには最先端のデザインの家具やインテリアが展示されていて,訪れるたびに発見と刺激がありました。イデーは斬新な発想の家具をプロデュースするだけでなく,海外デザイナーとのいまでいうコラボを始めたり,高度にデザインされたカタログを発行したりするなどして,次々に新機軸を打ち出してきました。そこには「新しいものを創り,新しいことをはじめるのだ」という強烈な企業メッセージが感じられました。実際,イデーの家具は,追従するブランドの商品とは次元の違う創造性を感じさせるものでした。いわば唯一にして孤高の存在がイデーだったのです。そして,イデーは実際に新しい客層を開拓し,インテリアのマーケットをクオリティ指向,デザイン指向のものへと大きく変質させてきたと思います。
今後は,良品計画がイデーの経営主体となるようです。イデーの持っていた企業としての創造性が失われずに事業継続されることを願っています。