司法書士田島掌のブログ

2006年10月16日

会社分割と所有権保存

「登記研究」(株式会社テイハン発行)の本日現在の最新号である703号のP.219以下に,興味深い記事が出ています。敷地権の登記がされている区分建物について,表題部所有者である会社が会社分割(吸収分割)をした場合,承継会社(設立会社)名義で直接所有権保存の登記ができる,という解釈に関する記事です。

似たような事例として,合併の場合に承継会社名義で直接所有権保存の登記ができる,という登記先例がありますが,これは不動産登記法74条1項1号による「その他の一般承継人」としての登記申請になります。合併により被合併会社は合併により消滅し,承継会社にすべての権利義務が包括的に承継されるからです。

これに対し,会社分割による承継会社の場合は,分割会社がそのまま存続し,また分割会社の権利義務のすべてが承継会社に承継されるとは限りません。したがって,合併のように「その他の一般承継人」としての所有権保存登記申請はできません。しかし,不動産登記法74条2項の「表題部所有者から所有権を取得した者」としての登記申請は可能,というのが今回の記事の解釈です。

その理由を,記事を参考にして私なりにまとめると,以下の3点に集約されるのではないかと思います。

1 74条2項は所有権取得について特定承継,包括承継の区別をしていないこと
2 74条2項が引き継いだ旧不動産登記法100条2項は,本来は所有権移転登記を共同申請すべきものについて,転得者に所有権保存登記の申請適格を認めるという趣旨であったところ,会社分割による権利の移転登記も共同申請すべき登記であって,74条2項の適用の場面では,同様に申請適格を認めて差し支えないと解されること
3 上記2のように解さないと,表題部所有者からの所有権取得の場合の登記申請の取扱いについて,売買の場合と会社分割の場合の均衡を欠くことになること

この記事の解釈は,合理的だと思います。もともと旧100条2項は,区分建物の転得者の表題登記の申請義務を否定しつつ,転得者にも所有権保存の登記申請の途を開くものでした。つまり,法律上は表題部所有者としての登記をすることができない転得者への,いわば救済措置だったわけです。その趣旨を考えると,表題部所有者である会社が会社分割をした場合には承継会社が表題部所有者になることが不可能である以上,同様に救済措置を認めてもいい,という考え方になるのは,妥当な結論だと思います。

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