司法書士田島掌のブログ

2006年04月07日

仲井戸麗市/絵

Q:ソロとしては2枚目になるアルバムだよね。
A:リリースは1990年2月21日。仲井戸麗市が40歳の時の作品ということになる。
Q:もうCDも廃盤らしい。
A:悲しい話だよね。彼のキャリアの中でももっとも重要な転換点の一つになった作品なのに。
Q:どういう意味で?
A:このアルバムの詞を見ると,新宿,夜,グロテスク,引っ込み思案,自由,夏,海等々の言葉が並んでいて,仲井戸麗市の作品世界の重要なキーワードがいくつも出てくることに気がつくよね。
Q:だから?
A:もともとRCサクセションで彼が発表していた曲にもそういう世界がすこしずつ見えていたんだけど,それはあくまで断片でしかなかったということが,この作品で明らかになったわけ。彼のシンガーソングライターとしてのトータルな作家性や,表現者としての巨大な鉱脈みたいなものが,リスナーに初めて提示されたっていう意味で,転換点といえるんじゃないか。
Q:それでどこがいいの?
A:この作品が出るまでは,仲井戸麗市をシンガーソングライターだと思ったことなんてなかったからね。こんなに懐の深い世界を表現できる人なんだって,驚いた覚えがある。言葉の切れ味っていうか,背負ってるものの重さみたいなものがすごくて詩人としての力量に圧倒された。
Q:「新宿署の敏腕」なんてフレーズは,仲井戸麗市以外には出せないよね。
A:すごいよね。あと作曲家としての技やバリエーションも想像を超えてたし。演奏でいうと,「エピローグ」のせっぱ詰まったグルーヴ感や,「ホ-ムタウン」のエンディングのギターソロなんかが,とくにすごいと思う。
Q:RCのアルバムの中の仲井戸麗市の曲って,割と直情的な怒りやある種投げやりな心情を表現したものも多かったけど。
A:清志郎との立ち位置っていうものも当然あったしね。でも後期には「ハートのエース」収録の「GLORY DAY」みたいに,終わってしまった青年期の鎮魂歌のような曲も書いてるよね。
Q:そうするとこういうアルバムの下地は,もともとRCのときに形成されていたっていうこと?
A:そりゃもちろんそうでしょう。
Q:全体に非常にプライベートな手触りを感じさせるアルバムだと思うけど。
A:オープニングナンバーで,新宿を真正面から歌ってるわけだしね。ただ,そういう原風景だけじゃなくって,もっといろんな心象風景を曲にしてるんじゃないの。そういうアプローチの統一感が,プライベートな作品っていう印象につながっているんだと思う。

仲井戸麗市オフィシャルホームページ
http://www.up-down.com/020chabo/02030disco/02031di-list1.html#d2

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